あした帰った 講師・伊藤拓也より

演劇経験の有無は問いません。新鮮に出会えればどなたでも嬉しいです。
企画の性格上、コメントを二つに分けています。どちらも読めます。
勇気あるご参加、心よりお待ちしています。
伊藤拓也

演劇経験がない方へ
 こんにちは。皆さんは演劇にどういったイメージを持たれていますか。声を大きく出して、人が大きく動くような舞台を想像していますか。演劇の形態は多様です。大きな声を出すものもあれば、小声でぼそぼそ話すもの、一言も話さないもの、人が全く出てこない演劇だってあります。それぞれにそれぞれの良さがあります。
 新型コロナウイルス感染症という言葉すら存在しなかった2019年12月に「あした帰った」は始まりました。日本で感染者が初めて報告されたのは2020年1月ですが、コロナ以後、日本だけでなく世界中で「演劇をやりましょう!」とは言い難くなりました。しかし人が集まらないと演劇は始まりません。感染症を回避するためには、人の集りに近づかないことです。しかし、人の集まりに近づくことは愚かなことでしょうか。私はこんな状況下だからこそ、人の集まりに新しい良さを見つけられるはずだと信じています。
 二期生募集で集まった方と共に、私は人の良さを改めて見つけてみたいと思います。演劇は人の集まりです。人の良さを見つけるとは、演劇の良さを見つけることです。誰かと共に探す方が、一人で探すよりも多くの良さが見つかるはずです。
 まずはみなさん一人一人が自分自身を味わってください。集まりを存分に噛み締めてください。できれば集まりを使ってください。人の集まりは、人の日常を確実に豊かにします。勇気あるご参加、心よりお待ちしております。




演劇経験がある方へ
 こんばんは。皆さんは劇団にどういったイメージを持たれていますか。私はかつて劇団を主宰していました。大学時代も含め、それは10年ほど続きました。私が台本を書き、台本通りに出演者が演じる形でしたが、活動が大きくなるにつれ、私は台本よりも舞台に立つ人の存在に強い関心を抱くようになりました。その人はどんな人生を歩んできて、どんな気持ちでいま舞台に立っているのか。私が当時主宰していた劇団は、2010年11月の上演を最後に無くなりました。
 高槻現代劇場を拠点に活動している「あした帰った」は、2019年12月に始まりました。「新進演出家短編上演会」という企画を経て、私が当クラスを担当することになりました。コロナの影響でお休みした時期もあります。この原稿を書いている今も、人を集めていいのか、集まりを求めて良いのかとても悩みます。しかし、この集まりによって救われている人もいると思います。なぜなら私もその一人だからです。
 「あした帰った」第二回公演は、2022年2月を予定しています。公演を目標に稽古を少しずつ積み重ねていきますが、私は最終的な公演よりも、「あした帰った」がどんな集まりになるのか強い関心があります。演劇は人の集まりです。集まりにより演劇は変わります。変わるべきです。同様の関心をお持ちの方、是非ご参加ください。演劇の良さを私たちと共に見つけてみませんか。勇気あるご参加、心よりお待ちしております。


※紙媒体の募集チラシに掲載されたメッセージを一部修正しています。